金沢城や兼六園といった金沢を代表する観光地と隣接している広坂は、金沢の歴史と文化、そして現在、未来を感じることができる街。漆器や陶器、金箔など、地元の誇る伝統工芸品を販売する老舗が建ち並び、金沢らしい趣のある街並みとなっています。金沢市役所の本庁舎や、移転前の石川県庁舎は広坂にあり、古くから官公庁が集まるゾーンでもありました。広坂通りと言われるメインストリートは緑が豊かで、春に満開となる桜並木は圧巻。毎年、大勢の花見客でにぎわいます。2004年(平成16年)には金沢21世紀美術館が完成。これによって、伝統文化と現代アートが融合する街となり、新たなぎわいが生まれました。他にも、金沢能楽美術館や第四高等学校の跡地に建てられた石川四高記念文化交流館、旧石川県庁舎跡地にオープンしたしいのき迎賓館などがあり、格調高いまちなかの文化ゾーンとしても近年注目を集めています。
日本を代表する偉人が巣立った街
広坂遺跡の調査結果から、広坂は古くから金沢の中心地だったことが分かります。発掘された奈良・平安時代の文化財からは、有力豪族が住んでいたと推測され、鎌倉・室町時代の出土品からは、館や寺院があったと考えられています。江戸時代には武家屋敷が建ち並んでいました。「広坂」という町名は、兼六園南側にある坂道が広かったことに由来し、明治時代に町名となりました。1873年(明治6年)には、一時的に美川町にあった県庁舎が金沢に復帰し、広坂通りに建設が決定。二代目となる庁舎は、国会議事堂を設計した矢橋賢吉氏の設計で、1924年(大正13年)に完成。庁舎正面玄関の両脇にある二本の椎の木(樹齢約四百年)とともに広坂のシンボルとなりました。また、広坂の歴史において、1894年(明治27年)に誕生した第四高等学校も欠かせない存在。ここから、政治、経済、文化、学術方面で活躍する日本の偉人が巣立っています。
手仕事のまち・金沢を実感してみよう
ユネスコのクラフト創造都市に認定されている金沢は“手仕事のまち”。広坂を歩けば、そのことが実感できるはず。街には、クラフト体験ブースが設置されている店舗や若手作家の作品が並んだギャラリーも。金沢の伝統的な手仕事を体験しながら、新しい発見がある…そんなスポットをぜひ散策してください。